制度 · 10分で読める

中小M&Aガイドライン(第3版)と、安心のための確認ポイント

国が定める中小M&Aの行動指針。第3版の強化点、重要事項説明、支援機関登録制度、相談窓口まで、利用者目線でまとめます。

01ガイドラインとは

「中小M&Aガイドライン」は、後継者不在の中小企業が安心して第三者承継を行えるよう、売り手・買い手およびM&A支援機関の行動指針として中小企業庁が定めたものです。初版2020年3月、第2版2023年9月、第3版が2024年8月30日に公表されました。法令そのものではありませんが、後述の登録制度を通じて実質的な拘束力を持ちます。

02第3版で強化されたポイント

改訂の背景には、一部の仲介業者による過剰営業や、手数料・契約内容の不透明さ、経営者保証が解除されないまま会社資産が不当に回収されるといった『不適切な買い手』トラブルの顕在化があります。

主な強化点は、①仲介者の利益相反への対応(双方の利益を尊重する義務を契約書に明記)、②手数料の透明化と重要事項説明の拡充(相手方の手数料を含む説明)、③専任条項・直接交渉の制限の見直し④テール条項の対象範囲の限定⑤買い手の事業実態・トラブル歴等を確認する調査体制の構築、です。

POINT

第3版の柱は「利益相反対応・手数料の透明化・専任/テール条項の制限・買い手調査」。

03契約前に確認したい「重要事項」

ガイドラインは、契約前に説明・確認すべき重要事項を定めています。利用者として特に確認したいのは、手数料の体系と算定根拠(着手金・中間金・成功報酬・最低手数料・算定基準)、専任条項の有無と期間、テール条項の対象先と期間、秘密保持、責任の範囲、利益相反の取り決めです。

これらが契約書に明記されているか、書面で確認しましょう。なお、ガイドラインはセカンドオピニオン(他の専門家への相談)を許容する運用を求めており、依頼者を不当に縛らないことが行動指針とされています。

04M&A支援機関登録制度と、悪質業者の排除

中小企業庁は2021年に「M&A支援機関登録制度」を創設しました。ガイドライン遵守を宣誓するなど一定の基準を満たした仲介者・FA等を登録・公表する仕組みで、公式サイトの登録機関データベースで検索・確認できます。事業承継・M&A補助金(専門家活用枠)の対象は、原則として登録支援機関による支援に限られます

あわせて、業界団体のM&A支援機関協会は、悪質な譲受け事業者の情報を会員間で共有する「特定事業者リスト」を2024年10月に運用開始しました(公的制度そのものではなく業界の取り組み)。不適切な相手を市場から締め出す動きが進んでいます。

05困ったときの相談窓口

万一トラブルが起きた場合に備え、公的な窓口も整備されています。中小企業庁は「情報提供受付窓口」を設置し、仲介者等との不適切な行為について依頼者からの情報提供を受け付けています(登録機関の指導・登録取消の判断材料に活用)。

また、各都道府県の「事業承継・引継ぎ支援センター」や「よろず支援拠点」が無料相談に対応しており、セカンドオピニオン先としても利用できます。利用するサービスや支援機関が本ガイドラインに準拠し、登録支援機関であるかを契約前に確認しておくと安心です。

POINT

契約前に手数料・専任・テールを書面で確認。相手が「登録支援機関」かもチェック。

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